DI SER ディセル 香りの旅①

18年以上前になるだろうか。ある朝、どこからかの「ディセル」という音で目が覚めた。


その「音の正体」が、内からのものなのか、外からのものなのか、定かではなかったが、今でも、その時のことをはっきりと覚えている。

当時、"ディセル"とは何のことだかも分からず、さして興味もなかったので、暫くの間、その出来事についてすっかり忘れていた。  

それから一年ほど経った頃だったか 、再びディセルの記憶が ”ふっと” 蘇った。


それは、今まで創ってきた香水のブランド名を何にしようか思慮していた時だった。  

あの朝の音の正体がラテン語なのか、フランス語なのか、どこか古い時代の言葉なのかは定かではなかったが、それが日本語ではないことだけは理解できた。

この音を何とか文字として記したかったので、ローマ字の組み合わせを色々試してみたが、しっくりとくるものには、なかなか出会えなかった。


その綴りが、DE CELLなのか、DHI CELLなのか、DE SERなのか分からないまま、時間だけが過ぎていった。

スーツケース


連日、パズルのようにスペルを組み直し、その意味を解読していたが、「ディセル」という音だけで、一体これに何の意味があって、いつの時代の、どこの国の言葉かも分からなかった。

当時は文字で記せないものを辞書やネットで調べる方法はまだ無かったので、全くのお手上げ状態だった。


つづく

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