前回は、ハマナス花に含まれるポリフェノールは、I 型アレルギーの特効薬という話しをしました。
今回は、そのハマナス花中に、どの位のポリフェノール量が含まれるかを測定しました。
乾燥した花100g中には、約20gのポリフェノールが含まれていました。約20%です。
これは他の植物と比べるとかなり高い値で、測り間違えたのかと思ったほどでした。
花からポリフェノールへ
野菜や果物に含まれるポリフェノールの量は、キャベツで0.01g、ニンジンで0.015g、ミカン果実でも0.04gほどです。
抗酸化力のあるタイムやローズマリー、黒豆でも3〜4gですので、如何にハマナス花に含まれるポリフェノールが多いいかが分かります。
ハーブや果物、野菜にポリフェノールがどのくらい含まれるかをを調べるには、フォリン-チオカルト法(FOLIN-CIOCALTEU法)やフォリン-デニス法(FOLIN-DENIS法)、酒石酸鉄比色法などがありますが、現在では、フォリン-チオカルト(Folin-Ciocalteu)法が、幅広く用いられています。
<総ポリフェノール量測定法>
*フォリン-チオカルト法 (FOLIN-CIOCALTEU法)
*フォリン-デニス法 (FOLIN-DENIS法)
*酒石酸鉄比色法
フォリン-チオカルト試薬による発色
この原理は、ポリフェノールを試薬により青く発色させ、その色の濃淡を分光計により測定し、ポリフェノール量を調べていくものです。
分光計
このポリフェノールの量は、総ポリフェノール量で表され、100g中に何gのポリフェノールが含まれるかで表示します。
総ポリフェノール量 : g/100g
フォリン-チオカルト(Folin-Ciocalteu)試薬
しかし、この方法では植物中に含まれる総ポリフェノールの量は分かりますが、どんな種類のポリフェノールが、どの位含まれるのかが分かりません。
自然界には、おそそ4000種類のポリフェノールがあると言われますので、知りたい物の中に、どんなポリフェノールが、どのくらい含まれかを知るためには、HPLCやLC/MSという機器を使用して、ミックスされているポリフェノールをそれぞれの種類に分けて調べていきます。
山椒の花
この中には、まだ知られていない未知の成分も多く含まれていますので、それがどんな構造のもので、どんな性質を持つかを知るためには、何年もの月日がかかることがあります。
これは根気と体力のいる仕事です。
春です
このポリフェノールは、自身が酸化されることで、私たちの身体が酸化しないように保護してくれる効果があります。
このポリフェノール量と抗酸化力には相関関係があり、ポリフェノールの量が多いと抗酸化力が強いと言われます。
この力を数値化したものが抗酸化試験と呼ばれるものです。この試験にもさまざま方法がありますが、今回は、ハマナス花のパウダーのORAC値 (活性酸素吸収能力)を測定し、抗酸化力の一つの指標としました。
ハマナス花パウダーORAC値
41,000μmolTE/100g
黄色ハマナス八重
今回は、畑で採れたハマナスの花からポリフェノールを抽出し、ポリフェノール量や抗酸化力を調べてみました。
総ポリフェノール量やORAC値は、食材の抗酸化力の一つの指標となりますが、あまり数値を気にし過ぎることはありません。
新鮮な旬の食材を美味しく食べることが一番です。
エゾエンゴサクのサラダ
エンゴサクは、レモンとオリーブオイルをかけて食べると、「ほんのり花の香り」がして美味しく食べれます。
北海道も雪が溶けて、後一週間ほどで山の花が咲き出します。山菜シーズンでもありますので、今年も沢山の山の幸をいただきたいと思います。
ありがとうございます。
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