今日は、朝から沖縄本島北部にある、やんばるの森へ、シイクワシャーの花を摘みに行ってきました。ここは、細く入りくんだ山の奥深くにある、ひっそりとした桃源郷のような場所でした。たくさんの蝶々が、ひらひらと舞っていました。
道中の集落には、道に犬や猫がゴロゴロ寝ていて、車が来ても動こうともしません。ここは、ゆったりとした時が流れています。
特殊な地形のせいか、ここは沖縄の人にも、あまり知られていない場所のようです。
この土地は、もともと野生のシイクワシャーが自生していたことから、樹木は、生命力があり、病気につよく、一度立ち枯れても、直ぐに根本から新しい芽を出だすと言われていました。50年、70年もののシイクワシャーの大木が、あちらこちらにありました。
今年は、例年になく開花の時期が遅れているようで、ほとんどの花の蕾が、まだ膨らんでいませんでした。この様子だと、開花時期は月末くらいまでずれ込むようです。
農園の社長さんも、沖縄弁で「今まで、こんなこと一度もなかったさぁ~ さむぃねぇ~」と驚かれていました。
今日から、数日間、ここに寝泊りさせてもらいながら花を採取する予定でしたが、花の開花が遅れているため、今日は那覇へ戻り、急遽ホテルを取りなおしました。
正式名は、「シークヮーサー」ではなく、「シイクワシャー」と書きます。ミカン科の常緑低木で、和名は「ヒラミレモン」です。
沖縄の方言で、シイは「酸」や「酢」を表し、クワシャーは「食わせる」、「加える」を表しますので「酸を食わせる」、「酢を加える」の意味合いがあります。
シイクワシャー
和名:ヒラミレモン(平実檸檬)
学名:Citrus depressa
科名 : ミカン科
特徴 : 琉球諸島、台湾に自生し、樹木の高さは5メートルほどに成長します。開花期は3月中旬で、3センチメートルほどの白い花を咲かせます。果実は丸く小さく果皮が薄いのが特徴です。青切りの果実は、9~10月に収穫され、ノビレチン、タンゲレチン、シネンセチンなどの機能性成分を多く含むため、現在、琉球大学をはじめ各大学で研究が行われています。
台湾産の四季橘は、シイクワシャーに味も形も似ているが、四季橘には、ノビレチンが含まれていません。
ノビレチン、タンゲレチン、シネンセチンはポリメトキシフラボン(PMF)と呼ばれ、抗酸化作用や脳の血流増加、糖尿病、美白、抗腫瘍などに良く効くとされ、その機能性が期待されている成分です。柑橘類の中では、シイクワシャーとポンカンに、この成分が多く含まれます。
会社では、3年ほど前から、このシイクワシャー果皮に含まれる精油成分やPMFの分析をしていますが、特に、この村に自生するシイクワシャーには、PMFが多く含まれています。
今シーズンは、念願叶って、花を摘みにきましたが、開花のタイミングが合いませんでした。
海外では、柑橘系の果実、花、葉から採った精油は、香料として広く使われます。
オレンジの花から採取される精油はネロリ、葉から得られる精油はプチグレンと呼ばれます。
ネロリ油は、希少な精油とされ、皮膚の美白や細胞再生作用、抗ストレスなどに優れます。この精油を使い、傷跡や妊娠線を治癒するオイルを良く作りますが、とても効果があります。
アゲハ蝶
今回は、シイクワシャーの花から細胞水や精油を抽出して、その香り成分を調べることができればと思っていましたが、この分だと、もう一度、来なければならないようです。
いくつかのシークワシャーの花を摘ませてもらい、香りを試しましたが、「ネロリ」と同じ香りでした。これは楽しみます。
つづく
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