錬金術師 スピリッツ 最終回

ジョン・ディ(John Dee、1527年7月13日- 1608年12月)は、イギリス生まれの錬金術師、占星術師、数学者。

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◯現代の錬金術師

先日、友人がハーブ真空抽出法というものを紹介してくれました。

これを調べていくと、田嶋晴彦さんという方が書かれた「ハーブ成分の抽出と精製」という書籍がありました。早速、この本と一緒に抽出キットを取り寄せてみました。本を読んでみると、簡易で素晴らしい抽出方法でしたので、今回、皆さんにも紹介したいと思います。

ハーブ成分の抽出と精製


この方法は、ハーブや生薬から有効成分を抽出するために、アルコールとオイルを使用して、アルコールに溶ける成分と油に溶ける成分の両方を効率よく抽出するものです。

先ず、ガラス瓶にハーブと無水エタノールを入れ、30mlの簡易シリンジを使ってガラス瓶の中を真空にしていきます。これは、容器の中を真空(無酸素状態)にすることで、ハーブ成分の酸化を防ぎ、成分の抽出効率を良くする利点があります。


減圧蒸留キット


エタノールでの抽出が終わったら、次にホホバオイルなどの油脂を加え、油に溶ける成分を抽出していきます。この方法は、抽出を二段階で行い、脂溶性(油に溶ける)成分と極性(エタノールに溶ける)成分の両方を抽出できるものです。

有効成分の抽出が終わったら、シリンジで容器内を減圧し、エタノールを湯煎しながら蒸留していきますので、これにより余分なエタノールが取り除かれ、肌への刺激が少なくなります。

最後に、濾紙でハーブを濾して出来上がりです。石鹸などを作るには、この抽出液は最適なものだと思います。

以前、これと同じ方法をインドで見たことがあります。そこは、アーユルヴェーダの製薬工場でしたが、十種類ほどの薬草の抽出液を油の中に入れて、攪拌しながら100℃で加熱し、抽出液の水分を蒸発させていました。そうすることで、薬草の有効成分が油に均一に溶け込み、アーユルヴェーダ薬ができあがります。これは、関節や筋肉の痛みを取り除く特効薬でした。

遠心分離機


会社でも、ハーブや生薬から、これと似た方法で抽出をすることがありますが、ロータリーエバポレーターや遠心分離機、減圧蒸留乾燥器などのを複雑な機器使用するため、一般の方が買い揃えるようなものではありません。

田嶋さんは、高価な機器を使用しないで、誰もが抽出をできるよう、簡易で、安価で、効率良い技術を提供されています。現代の錬金術師ではないでしょうか。見習いたいと思います。

会社の棚に、生薬の川芎(せんきゅう)をアルコールに漬けたものがありましたので、早速、この抽出キットを応用して、スピリッツを作ってみました。

この時期の北海道は、まだ寒く、外に雪が沢山残っていますので、雪を利用してエタノールを冷やし回収しました。とても安上がりです。

下の写真のように、ハーブの抽出液の入った瓶を湯煎し、瓶から出る蒸気を冷やしスピリッツを集めます。

川芎を漬けたアルコール度数が40~50度くらいありましたので、蒸留して出来あがったスピリッツは60~70度くらいの度数がありました。量は少なかったですが、川芎の香りが薫るスピリッツが出来上がりました。

~ 川芎の蒸留~

ロータリーエバポレーター

減圧状態のため、湯煎で沸騰しています

数千年の昔から、さまざまな抽出や蒸留、精製の方法が考案されてきました。  

原理、原則を理解し、創意工夫することで、面白いものが、安価で簡易に作れます。

今は、近くのホームセンターやインターネットで、欲しい材料や器具が簡単に購入できますので、色々と自作されてみてください。

何も持たず、訪れた場所で、そこにある材料を利用し、その方々を元気にすることが、ほんとうの錬金術であり、錬金術師です。

ただ、高価なものを買うだけではなく、知識や技術を巧く組み合わせることで、身近にあるものを誰もが便利に使いやすくしていくことが、知恵であり、錬金術であると思いました。

長い間、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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