こんにちは。
昨日からロンドンに来ております。
ロンドン市内
この一ヶ月間、柚子の皮や種から有効成分を抽出するために色々な条件を試していましたので、ヘトヘトになりました。
今回の抽出は,とても手間がかかりましたので,ブログも更新出来ずにいましたが,こちらに来る際の機内で時間がありましたので,この文章を書いておりました。
今回は,初めての方法を色々と試しましたので.手探り状態でした。その分析の手法も初めての事で,かなり苦労しましたが,良い勉強になりました。
抽出条件を変えると出てくる有効成分も変わります。圧力や温度,溶媒などの条件をほんの少し変えるだけでも、抽出される成分が全く変わってしまいます。抽出という作業は,とても繊細で奥が深いように感じました。
柚子皮抽出
さて、前回は柚子の精油中に含まれるモノテルペンの抗酸化作用について書きました。
これは d-リモネンや γ-テルピネン α-フェラドレンなどのモノテルペンは分子内に二重結合を二つ以上持つことから活性酸素をキャッチし 自分自身が酸化されることで 抗酸化効果があるということでした。
モノテルペン
今回は モノテルペンの抗酸化作用だけでなくリラックス効果や血行促進について書いてみたいと思います。
柚子の精油中に多く含まれる d-リモネンは皮膚からの浸透がとても良く,塗ると直ぐに皮膚から吸収されて血中に入ります。
そしてこの成分は低濃度であると交感神経を刺激し,血管を収縮させますので,一時的に血管の内圧が高まり血流が良くなり,血行が促進されます。
冷え性や顔色の優れないときには 柚子の精油をキャリアオイルかなにかで希釈されて マッサージに使われると良いと思います。
こちらでは,オイルやジェルに柚子精油を適度な濃度で分散させでマッサージしていますが,精油の効果により血行が促進するため 顔色も良くなるようです。
今回蒸留した青柚子精油の主要成分を下に書いておきます。
九州大分 青柚子の精油成分
①α-ピネン 1.5%
②β-ピネン 3.6%
③d-リモネン 62.3%
④γ-テルピネン 19.2%
⑤テルピノレン 1.4%
⑥α-オシメン 4.2%
⑦β-ファルネセン 1.5%
⑧d-リナロール 2.5%
この中の①~⑥はC10H16の組成を持ちモノテルペンに分類されます。⑦のβ-ファルネセンのみがC15H24の組成を持ちセキステルペンと呼ばれます。
※補足で書きますとC10H16とは10個の炭素と16個の水素からできている化合物という意味です。
GC/MSのデータによると柚子精油の成分のほとんどがテルペン類でしたしたので,この精油は抗酸化作用に優れ,血行を促進し,覚醒作用とリラックス作用の両方の効果を持つことが分かります。
例えば, 柚子精油は濃度を薄く使うと,交感神経を刺激し体温を上げる作用があります。その逆に濃度を1%以上で使うと(10%が効果的)副交感神経を刺激し体温を下げる効果があります。
これは,柚子の精油中に含まれるリナロールの作用とされます。柚子精油には覚醒作用とリラックス作用の二つがありますので,濃度によって使い分けてみて下さい。
柚子精油のGC/MSチャート
先月から柚子の皮に含まれているフラボノイドを抽出していました。
最初の抽出方法では フラボノイドはまったく出てきませんでした。いくら抽出しても出てこないので 青柚子の皮にはフラボノイドが無いのかなと疑心暗鬼になっていました。
抽出の方法を変えたところ,ヘスペリジンとナリンゲニンというフラボノイドが確認できました。
このヘスペリジンやナリンゲニンというフラボノイドは抗酸化作用に優れ,血流を良くし, 毛細血管を強くする効果があるといわれます。
血流をよくすることから冷え性や痴呆予防,抗ガン作用, 抗アレルギー,霜焼けにも良く効くとされますので,江戸時代の頃から冬至の時期になると柚子湯に入るのは とても理にかなったことだと思います。
九州大分 青柚子 皮だけを剥いたもの
柚子は日本の歴史の中でも長い期間使われてきた ハーブです。そして皮から種,果汁まで丸ごと使える果実でフラボノイドや精油成分、ビタミンなどの薬効成分を多く含みますので,皆さんも生活の色々な場面で柚子を上手に使ってみてください。ありがとうございました。
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