DI SER ディセル 香りの旅⑦

今回、NYに来た理由は二つあった。

一つは、この香水が、海外でどう評価されるかを知りたかったことだ。

日本文化を香水を通じて世界へ発信すると大口を叩いたところで、そのクオリティが製品レベルまで達していなければ、話しにもならない。


日本人が、何をしに来たと言われるくらいなら、はじめから行かない方が良い。日本の評判が下がるだけである。

もう一つは、日本を元気にしたかったことだった。


震災で、復興も進まない中、海外の方に日本を知ってもらう良い機会だっだし、この大変な時期に、香水を売り始めた道化の奴がいると思って貰えれば、日本が少しでも元気になると思った。

ニューヨークの土地で、異なる文化の人たちと触れ合うのは、気を使いはしたが、とても新鮮だった。


こちらへ来て、驚いたことが、来場する男性のほとんどがゲ〇だったことだ。出展者、来場者を含めてである。


両隣りのブースの男性も、前の男性もゲ〇だった。毎朝、手を小刻みに振って挨拶してくれた。


この建物の中で、〇イで無かった男と言えば、自分とセキュリティーくらいだったのではないかと思う。

ニューヨークに住む男性の4割がゲ〇だといわれる。計算からいうと、街をすれ違う男の二人に一人はゲ〇ということになる。


街中を歩いていても、この人普通、次はゲ〇、この人普通、次は〇イと、そんな風にニューヨークの街を歩いていた。


香水の展示会では、これが濃縮され、さらに密度を増す。おそらく、こういった方は感性が高く、芸術的な感覚を持っているのだと思う。


新しい場所では、色々な発見がある。これは実際に行き、肌で感じてみないと分からない。

雑誌やメディアから取材を受け、取り引きの話しも沢山いただいたが、こちらの準備ができていなかった。


そもそも送れないものを、NYまで売りにいったのだ。


これに関しては、今でも多くの方に失礼なことをしたと思っている。


彼方は、真剣にビジネスで来ていたのに、此方は、ただ様子を見に行っただけだったからだ。申し訳なかった。

香りを楽しんでいる人の顔を見て、来て良かったと思えた。少しだが、周りとの距離が縮まったようだ。


自分の世界だけに在ったものを、外へ出して、喜んで貰えたことが嬉しかった。

この2ヶ月後に、ドイツ・デュッセルドルフで開催される香水展へ行くことになる。次の目的地はヨーロッパである。


第一章終り

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