アコード 創造力

今日は、アコード「Accord」について書いてみたいと思います。このアコードとは、香りの分野では「調和度」のことを指します。

例えば、二つの香りを混ぜた時に、どの配合比率が一番バランスが良いかです。

伽羅香木から抽出した香料


香りには、それぞれの好みはありますが、調和の取れた香りは聴いていて気持ちの良いものです。

このバランスが取れている時、それぞれの香りが融合し、一つの新しい香りが生まれた感じがします。

茶会


例えば、ラベンダーとゼラニウムを混ぜる際に、先ず、1:9, 2:8, 3:7, 4:6, 5:5, 6:4, 3:7, 2:8, 1:9の比率の香りを作り、試していきます。

この中で、[4: 6]の比率が良いなと感じた時は、次に[3.5: 6.5], [4.5: 5.5]の比率を作り、この中から一番良い調和点を選びます。さらに細かく調和点を見つける時もあります。

この作業は体調にも左右されますので、数日かけて、その点を探す場合もあります。

どちらの香りが立ち過ぎても、バランスから外れますので、一つになる点が見つかるまで、この作業を何度も繰り返していきます。

この点が見つかった時は、あっ!これだと分かります。答えが出る瞬間です。

二種類のアコードが完成すると、これに次の新しい香りを加え同様の作業を行います。

香りの種類が10種類、20種類に増え、全体のバランスが取れた時、これが香水となります。

この地道なトレーニングとインスピレーションの両面から本当の創造力が出るようです。

インスピレーションだけでは、それを支える基礎がなく使い物になりません。

こんな話しがありましたので、ご紹介します。あるフランスの調香師さんが、ある日、突然嗅覚を失ったそうです。

調香師が嗅覚を失うと言うことは、職を失うということで、とても大変なことだったと思います。

しかし、その方は嗅覚を失った後、香りの処方を見ただけで、その香りが分かったそうです。

彼の部下が、新しくできた処方を見せに行くと、的確に指示を与えたそうです。

こういった訓練を繰り返し積んで来た方だからこそ、処方を見るだけで、その香りを理解できるのだと思います。見習いたいです。

ありがとうございました。

0コメント

  • 1000 / 1000