見えるものと、見えないもの 香木

今日は、朝から鉱石や植物、微生物などの電子顕微鏡写真を撮っていました。

電子顕微鏡は、見たいものを数十倍から百万倍くらいまでに拡大して見ることができる顕微鏡です。

数十万倍の高倍率で見る場合には、少しの振動でも画像がブレてしまうため、専用の部屋作りからしなければなりません。床の基礎作りからです。

電子顕微鏡の撮影は、トラックが走る時間帯は撮影が出来ないとか、クシャミで画像がブレるとかとても繊細です。

石英斑岩  x1300


綺麗な画像を得るためには、試料の前処理から始まり、真空度、倍率、加速電圧KV、軸合わせ、撮影速度などの多くのファクターがあり、ピント合わせには技術と神経をかなり使います。

今日は、朝から夜まで、何度もピントを合わせていましたので、ヘトヘトになりました。

この撮影は、奥が深く、職人の域に達するまでは、かなりの経験が必要です。この分野では、まだ、まだ素人です。

電子顕微鏡の画像は、あまり見る機会が無いと思いますので、今日、撮影した何枚かの写真を紹介いたします。

 

沈香木


上記の写真は、「香道」で使用する沈香木です。最近は、香木の価格が上がり大変高価なもになりました。

この沈香は、一グラム15,000円くらいの価格です。伽羅となりますと、35,000〜50,000円/gとなります。

香木から、取り出した香りを、DI SERの香水に使用していますので、香木の品質管理は香りだけではなく、電子顕微鏡の画像からもチェックしています。

 

香木1gから抽出できる香料は、数%ですので抽出の失敗はできませんが、それ以前に香木の品質がとても重要になります。

沈香木  10KV    x22


上記の写真は、10KV、22倍で、香木全体を見た写真です。

これを1000倍まで倍率を上げたものが、以下の写真となります。小さな穴が無数に開いています。これは香木の種類によって変わります。

沈香木   5KV    x1000


この写真の倍率を更に1000倍から8000倍まで拡大したものが、以下の写真です。

沈香木   10KV   x8000

 

沢山の丸い穴が空きチーズのようです。小さな穴の直径は100nm、大きな穴が1000nm = 1μmくらいです。

香木は、香りからの判断も大切ですが、見えない部位のチェックも大事となります。高価な材料ですので、気が抜けません。

香木


鉱物や植物の画像を拡大していって、ミクロの視点から見てみると植物も鉱物もあまり差がありません。

電子顕微鏡で、拡大した物の表面を見ていると、どこか遠い彼方の星かと錯覚を起こします。

2000万年前の貝化石 10KV   x34


行ったことはありませんが、月か火星の写真のようで、不思議な感じがします。 

ブログを書きはじめて、今年で四年となりました。長くお付き合いいただきまして、ありがとうこざいます。

我ながら、よく続いていると思っております。

もとは、自分自身が気づいたことや感じたことを整理する為に、書きはじめたものでしたが、こんなに続くとは思っていませんでした。

本来、人付き合いが面倒で、こういった分野は苦手としていましたが、こうしてブログを続けて来れたのも、皆さんのお陰だと思っております。感謝しております。

また、楽しい情報を綴っていきたい思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

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