昨日、沖縄の取り引き会社の方からの電話がありました。沖縄は気温が25℃で、クーラーをつけるか、つけないか迷っているとのことでした。
札幌は最高気温が−2℃で、街は凍りついていますと伝えると、えぇ〜と驚いておられました。 笑
合成香料を扱うのは久しぶりでしたので、配合を変えたり、天然香料を加えたりと、楽しみながら香水を組み立ていきました。2日程で「立ち」の良い香水が何種類か出来上がりました。
「DI SER」は、天然香料を使った香水がコンセプトですので、合成香料は使用しませんが、普段と異なった材料を触るのも、なかなか良いものです。
合成香料は、その種類も多種多様で、価格も安く、香り自体もシャープで透明感がありますので、作れる製品の幅も広がります。今回、作った香水も、ヨーロッパやアメリカで販売すれば、よく売れる製品になると思います。
しかし、出来上がった香水を試していくと、やはり天然の材料から作られた香水が良いと感じます。
これは、それぞれの好みですので、何とも言えませんが、やはり「自然に学ぶ」物作りを基本にしていきたいと思います。
もともと医薬品や合成香料を作る、有機合成が専門でしたので、構造式を見れば、それがどんか香りがするのか、毒性があるのか無いのか、どんな性質を持つのかなど、おおよそのことが分かります。
有機合成をしていた頃は、作りたい物をどんな材料から、どうやって作っていくのかを設計するのが楽しくて、これは魔法のような技術だと思っていました。
しかし、作ったものが、人を根本から癒やせないことが分かり、結局、別の道を選びました。
そんな経緯もあり、今では、原材料や、その過程を大切にした物作りをするようにしています。しかし、その時学んだ知識や技術は、今の仕事で形を変え生きています。
Galaxolide (ガラクソライド)
このガラクソライドは、ムスク系香料の一つで、シャンプーや石鹸などに多く使われています。本来、ムスクとは、ヒマラヤに生息する麝香鹿から取れる動物性香料ですが、希少な香料ですので、現在、さまざまな合成ムスクが作られています。
このガラクソライドは、ベンゼン環にテトロヒドロピランと五員環にメチル基 -CH3が多く付いている構造ですので、構造からも脂溶性が高いことが分かります。これは経皮吸収が高いと思います。
それに加え、不斉炭素を持っていますので、光学活性があります。経皮吸収が高く、光学活性がありますので、体内に入るとどの様な挙動をするのかが分かりません。
このガラクソライドが、水にどの位溶解するかを調べてみると、25℃での1.75mg/Lですので、ほぼ溶けないことが分かります。
食塩の溶解度は、1リットルの水に25℃で352g溶けますので、この事からもガラクソライドは、水にほぼ溶けないことが分かります。
1.75mg/L = 0.00175g/L
このガラクソライドは、体内に入ると排出しづらく、生物濃縮や体内残留が高いと思いますので、気をつけたいと思います。
今回は、何回かに分けて香料の種類や分類、光学異性体について書いてみます。
ありがとうございました。
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