香りの分類

今回は、香料を体系的に分類し、色々な側面から香りを見ていきたいと思います。

私たちの身近にある製品は、食品にしても、化粧品にしても、香料が使われています。無香料と表示されていても、何かしらの香りが付いています。

この香料には、食欲を増進させる働きや、原料の匂いを消したり、製品のイメージを向上させる効果がありますので、ほぼ全ての製品には、付加価値としての香りが加えられています。

この香料に、どんな種類の香りがあるかを知ることで、香りの知識を深める事ができますので、今回は、香りの種類や分類について書いていきたいと思います。

[香料の分類]

先ず、香料は、天然の動植物から抽出した天然香料と化学的に合成した合成香料、天然の香料から単離された単離香料、そしてそれらを組み合わせた調合香料に分けられます。

●天然香料 ..... 天然の動植物から得られたもの

●合成香料 ..... 化学的に作られたもの

●単離香料 ..... 天然の香料から特定の成分を集めたもの    

●調合香料 ..... これらの香料を組み合わせたもの

この天然香料には ①動物性香料 ②植物性香料 ③単離香料の三種類があります。

[天然香料の分類]

①動物性香料  

②植物性香料 

③単離香料

[合成香料の分類]

合成香料には、様々な分け方がありますが、今回は化学的な分類を示します。

①炭化水素(アルカン、アルケン)、②アルコール、③カルボン酸、④エステル、⑤ケトン、⑥エーテル、⑦ラクトン、⑧アルデヒド、⑨フェノールなど

現在、この合成香料は、世界で500種類ほどが作られていますが、日本で作られているものは、その内350種類となります。

次に、天然香料、合成香料、単離香料について詳しく書いていきます。

●天然香料

①動物性香料 ..... 動物から得られるもの

②植物性香料 ..... 植物の花や葉、幹、果実、根などから得られるもの

③単離香料 ..... 動植物から得られた香料から、特定の成分のみを単離したもの

①動物性香料 

ムスク、アンバーグリース、シベット、カリトリスミなど

※  麝香鹿から取れるムスク(麝香)、鯨のアンバーグリース(龍涎香)、霊猫のシベット(霊猫香)、バービーのカリトリスミ(海狸香)などがあります。

②植物性香料 

ローズオイル、ラベンダーオイル、レモンオイル、ユズオイル、ネロリオイルなど

③単離香料 

ゲラ二オール、リナロール、リモネン、テルピネン-4-オールなど 

●合成香料

①炭化水素類 ... レモン、柚子などの柑橘系の香り

②アルコール類 ... ミント、シソの香り

③カルボン酸類 ... 油臭、足の匂い

④エステル類 ... リンゴ、バナナ、ブランデー

⑤ケトン類 ... バター、カラメル

⑥エーテル類 ... ユーカリの香り

⑦ラクトン類 ... ミルク、ココナッツ

⑧アルデヒド類 ... リンゴ、バナナ、シナモン

⑨フェノール類 ... クローブ、燻製

●調合香料 

天然香料や単離香料、合成香料を組み合わせたもの。

[用途による分類]

用途によって、香料は「食品香料」と「香粧品香料」に分けれます。食品香料は、ジュースやお菓子、ガム、ハムなどに、香粧品香料は化粧品や洗剤、香水などに使われます。

①食品香料

②香粧品香料

[まとめ]

1) 天然品と化学合成品

① 天然香料 

② 合成香料

2) 天然香料、合成香料、調合香料の分類

①天然香料 

1) 動物性香料  

2) 植物性香料 

3) 単品香料 

② 合成香料 

③ 調合香料

3) 用途による分類

① 食品香料 

② 香粧品香料

※ 単品香料であるリナロールやリモネン等は、天然物から単離したものと化学的に合成したものの二種類があります。

ここ迄で、香料の大まかな分類ができましたので、次回は、香りの特性や安全性についてお話したいと思います。

〜シベット談〜

以前、フランスの調香学校で「シベット」の香りを使ったことがありますが、あれは日本の「豚舎」の匂いにそっくりでした。

「牛」ではなく「豚」です。

実家の近くにも豚舎がありますが、シベットは、そのものの匂いでした。

あまりに似ていましたので、これなら霊猫を殺さずに、豚舎から香りを取れば良いと思ったほどです。

また、四年程前に、宮崎県の豚舎の匂いを軽減できないかという仕事を依頼されたことがありました。この時の匂いも、シベットの香りでした。日本での豚舎の匂いは、みな同じ香りのようです。

 

あの時は、半日ほど豚舎に居ましたが、その匂いが取れるまで2日ほどかかりました。

この豚舎の隣にある敷地が牛舎でして、この社長、隣の牛舎の匂いが、臭くて、臭くて、何とかならないものかと   

なかなか洒落の分かる社長さんだと思っていたら、これが真面目な話しだったらしく、、、真剣に牛舎の苦情を訴えていました。

こちらにしてみたら、匂いの違いはありますが、臭さは変わりません。

「豚舎」対「牛舎」 

つづく

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