昨日から、来年の1月にパリで開催されるトラノイ「TRANOI」という香水イベントに出展するための準備をしておりました。今回は、メンズとレディースのコレクションと一緒に香水の発表が行われます。
札幌は、昨晩から雪が深々と降っていまして、約60-70cmほどの雪が一晩で積もりました。そのせいか、今日は誰からの連絡も無く、ゆっくりと香水の製作ができました。
しかし、この雪の中を、わざわざ東京から香水を買いに来てくれた方がおられました。 ありがとうございます。
香水を作るときには、w/wという単位を使います。これはエタノール何g中に香料が何g入っているかという意味がありますが、今回は、何故?w/wを使うのかや単位の話しを少ししてみたいと思います。
単位には、kgやg、ml、mg、μg、μml、%などさまざまものがありますが、何故?このような単位が必要かというと、物を作ったり、実験をしたりする際に、量を数値で表さないと実験をするたびに結果が違ったり、同じ製品が作れなくなるからです。
この量を計るために天秤やピペット、メスシリンダーといった器具をつかいます。
精密電子天秤 桜の花びら
この天秤には、家庭用の1gから計るものや0.00001gくらいまで計れる精密天秤までさまざまなものがあります。
精密天秤になりますと、少しの風や振動でも数値が変わりますので、上記のようにフードのついたタイプとなります。この秤を使うときは、周りを歩くだけで値がかわりますので、計る時には、動かずに、じっと息をひそめて重さを測定します。
マイクピペット左 20-200μml、右 30-1000μml
①w/wや②v/v③w/vの意味は何かと言いますと、①は何g中に何g入っているのか、②は何ml中に何ml入っているのか、③は何ml中に何g入っているかの意味です。
②のv/v単位を使って香水を作る方もいるようですが、これですと、香料毎に比重が異なる事やピペットやスポイトに残った香料のために、次から同じ香水を作るのが難しくなります。
例えば、香水を例にとると13g/100gでは、「エタノール100g中に13gの香料が入っている」という意味になります。即ち13%濃度の香水ということになります。
同じように13ml/100mlでも「エタノール100ml中に13mlの香料が入っている」で、上記と同じ13%濃度の香水という意味となります。
13g/100gでも13ml/100mlでも、共に同じ13%濃度ですが、出来上がる香水の香りは異なります。これは、香料やエタノールの比重が違うためです。
香水はエタノールに香料が溶けたものですので、エタノール100gとエタノール100mlではエタノールの量が変わりますので、当然、出来上がる香水の濃度がかわります。
例えば、濃度100%エタノールの比重は20℃で0.7892g/mlですので、このエタノール100mlの重量は78.92gとなります。また、100%エタノール100gでは126.71mlの容量となりますので、何を基準とするかで出来上がる物が全く違うものなります。
*エタノール100mlは 78.92g
*エタノール100g は126.71ml
香料も揮発性の油ですので、それぞれ比重が異なります。
20℃ 比重
*ローズアブソリュート 0.980
*ローズオットー 0.850
ローズアブソリュート100mlの重さは98g、ローズオットー100mlの重さは85gとなりますので、gを使うのかmlを使うのかで、出来上がる物が大きくかわります。
同様にローズアブソリュート1gは1.02ml、ローズオットー1gは1.18mlとなります。ピペットで1mlの香料をはかり、ビーカーにそれを出すと、そのピペットには必ず香料が残ります。これが誤差の原因になります。
このような理由から香水を作る際には、w/wを使用します。今日も札幌は深々と雪が降り続いております。ありがとうございました。
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