昨日、島根県の隠岐から黒文字『クロモジ』が届きました。
昨年も、この隠岐産のクロモジを蒸留しましたが、このクロモジは他の日本の地域のものとは、香りが全く異なります。
島根県隠岐島 クロモジ
今回は、隠岐の別の場所に生えるクロモジを試験的に調べて欲しいという依頼でした。
この隠岐島は、幾つかの島からなる群で『島前』と『島後』に分けれます。そして、それぞれの島にクロモジがあるそうです。
島の人たちは、春先の四月のうちに柔らかい新葉を摘み、年間を通じて健康茶として飲んでいると言っておられました。
一般にクロモジの葉に含まれる精油の成分は、1,8-シネオールとリナロールで、それらが30%くらいつづ含まれますが、この隠岐産のクロモジはジヒドロカルボンとl-カルボンが主成分で、これらが全体の60%以上をしめます。
クロモジの香りはシャープで力強く、その中に柔らかいフローラルな香りが混ざりあっています。樹木のような花のような〜 何とも言えない不思議な香りです。特にこの隠岐地方のクロモジは、特に『気』である『香り』が強いと思います。
クロモジ乾燥末
クロモジを蒸留した後は、蒸留器内や配管にこの強い香りが残ってしまい、あとの掃除がほんと大変です。これが掃除してもなかなか取れません。 前の香りが残ったままだと、次の蒸留時に香りが混ざってしまい折角の蒸留が台無しになります。
こういう場合には、アルコールを入れて蒸留をする事で器内や配管に残った香り成分をアルコールで洗い流します。
また、その際に蒸留されたアルコールには、ハーブの成分が溶け込み、香り高いスピリッツが出来上がります。贅沢な副産物です。今回のクロモジのスピリッツは、香りがシャープで上手く出来上がりました。
この減圧蒸留方法の利点は、写真のようにハーブの乾燥末と植物の水である細胞水が同時にできることです。
水蒸気蒸留の場合には、原料であるハーブは蒸気により蒸され色も変わってしまうため、残った残渣はお風呂にいれるか、肥料にするくらいしか利用方法がありませんが、この方法では乾燥したものから再び有用成分を抽出したり、お茶として飲んだりと選択肢が増えます。また、乾燥していますので保存も容易です。
昨晩は、クロモジの細胞水や乾燥粉末に熱湯を注いだハーブティ、スピリッツ、そしてクロモジのハーブタバコを少しづつ試してみたところ、足の先までポカポカに温まりました。血流を良くする作用があるようです。
クロモジ細胞水
○クロモジ 黒文字
科名:クスノキ科
ラテン名:Lindera umbellata
特徴:2〜5m 落葉 低木
本州、四国、九州、北海道南部に自生し、高級楊枝の材料になる。
効果・効能: 鎮静作用、抗不安作用、抗真菌作用、血行促進、抗炎症作用、免疫増強作用
クロモジの根の皮を乾燥したものを釣樟(ちょうしょう)といいます。 これは、急性胃腸カタルや脚気などに効能があるとされています。また、血行を促進する働きがあり、冷え性や肩こりにも効果があるようです。また、入浴剤として利用すると身体を温め肌を清浄に保つとされます。
心身のバランスを崩した鬱や慢性疲労の方々に、このクロモジから作りましたスピリッツを舌下に垂らして服用してもらった所、すっかり回復されましたので、クロモジは随分効果のある薬草だと感心していました。
このクロモジから、細胞水や乾燥末、スピリッツなどの原材料が得られます。さらに、これらを元に石鹸や化粧水、ヘアートニック、お茶、フラワーエッセンス、ホメオパシー、サプリメントなどが作れます。
自然界にある植物や鉱物の使い方が分かれば、現代の病気と言われるものは、ほぼ無くなると思います。毎日、植物や鉱物と接していますが、まだそのほんの一部しか理解できていません。
一つの材料が創意工夫により、形を変え、私たちの生活を便利で豊かなものにしてくれます。一つ一つ理解を進めていきたいと思います。
ありがとうございました。
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