錬金術 スピリッツ①

前回は蒸留酒について書かせていただきました。

今回は、蒸留酒を何故スピリッツと呼ぶようになったのか。いつ頃から、蒸留酒が作られはじめたのか。どうして、修道院でこのお酒がつくらるようになったのかなどを、スピリッツと錬金術と宗教との関係を数回に分けて書いていきたいと思います。

 Wikipedia ウィリアム・ダグラス

『錬金術師』


錬金術といいますと、鉛を金に変えたり、不老不死などのイメージがありますが、炭素からダイヤモンドを作ったり、炭素や酸素、水素から薬を作ることも、現代の錬金術と言えます。

当時の錬金術の目的は、万物の法則を明らかにし、不老不死を達成し、神に近づく事でした。

この錬金術に携わる者を錬金術師と呼び、彼らは万物の背後に隠れている目に見えない霊や魂の精錬を行うことで、不老不死を得て、神との一体化を得ることが最大の目的でした。

 Wikipediaピーテル・ブリューゲル作

『錬金術師』16世紀の錬金術師の実験室


このような経緯から、”スピリッツ” とは霊、魂、生命などの純化されたものの意味を持ちます。

同じように、ワインとやビールなどの醸造酒から蒸留により不純物を取り除いた、アルコール度数の高いアルコールもスピリッツと呼ぶようになります。

スピリッツ   アルコール度数50~60%


これは八角、当帰、シークワサー、クソニンジン、浜防風などのハーブや生薬を漬け込んだスピリッツ。

※クソニンジンは、マラリアの特効薬として、昨年ノーベル賞を取った薬草で、アルテミシンを含みます。

当時の錬金術師は、この純化された蒸留酒を不老不死の薬として「生命の水」と呼びました。これが霊薬であるエリクサーの由来です。

この「生命の水」が錬金術師によりヨーロッパから世界各地に広がり、それを更に広めたのがキリスト教の修道院となります。

つづく

0コメント

  • 1000 / 1000