錬金術師の目指していたものは、不老不死を達成し、神へ近づく事でしたので、教会の教えとは、相容れないものがありました。
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『賢者の石を求める錬金術師』
ライト・オブ・ダービー作 (1771年)
教会にしたら、神へ近づく、神との同一なんていう事は、神への冒涜でしかありません。もし、教会が神と人間が同じであると認めたなら、教会には誰も来なくなってしまいます。
そんな中、教会は錬金術師たちを迫害しますが、彼らが持っていた「生命の水」の製造方法には興味がありました。当時の教会の修道士たちにとっては、喉から手が出るほど欲しい技術だったと思います。
何故なら、教会の現金収入は、ビールやワイン、薬草だったからです。
こんな背景から、修道士も蒸留酒作りに加わり、教会を通じてヨーロッパ中に蒸留酒が広まっていきました。この蒸留酒に薬草を漬け込んで、甘みを加えたのが、薬用酒のリキュールとなります。
現在でも、リキュールはヨーロッパの教会で良く売られています。
この蒸留酒が作られ始めたのが紀元前350年頃と言われています。この際に使われた原料は、穀物やブドウではなく、ナツメヤシと伝えられています。ナツメヤシは、甘みがかなりありますので、アルコール度数の高いお酒ができたと思います。
そして、蒸留酒の技術が確立したのは、8世紀頃と言われていますので、技術が確立するまでには、随分と時間がかかりましたね。
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蒸留器の原型は、紀元前3000頃のメソポタミア文明と言われますが、この蒸留器は蒸留酒をつくるものでは無く、香水を作るのものでした。花の蜜を集めたものを蒸留し、香水を作っていたようです。
この仕事をはじめてから、蒸留を良くするようになりました。蒸留から得られるものは、透明感があり、活性が高く、本当に見事なものだなと関心しています。先人がこれらを『生命の水』と呼んだ事が良く分かります。ピカピカ光っています。
植物の本質である香りを『精油』と呼び、その精油が溶け込んだ植物そのものの水を『植物細胞水』と呼びます。
そして、精油と植物細胞水、そしてアルコールが混ざったものを『スピリッツ』と呼びます。これら全ては、蒸留という方法より得られます。
植物の『精』が集まり、蒸留により純化したものがスピリッツです。先人が、何千年という時をかけて作りあげてきた素晴らしい技術です。ロマンがあります。ありがとうございました。
つづく
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